このたび、第66回日本組織細胞化学会総会・学術集会を、2025年10月25日(土)・26日(日)の2日間にわたり、大阪公立大学 I-siteなんばにて開催させていただく運びとなりました。開催校を代表して、謹んでご挨拶申し上げます。
本学術集会では、「組織と細胞の深淵に迫る」というテーマを掲げました。組織細胞化学は、顕微鏡技術の進展と分子生物学的手法の融合により、細胞内の微細構造や組織の機能をかつてない精度で捉えつつあります。その奥深い世界に分け入り、細胞と組織の本質に迫る研究の最前線を、皆様とともに探究できる場にしたいと考えております。
本会では、特別講演、シンポジウム、教育講演、一般演題に加え、若手研究者による発表の機会も多数設け、次世代の研究者が新たな発見と視座を得る場となることを目指します。特に、オミクス解析やAI(人工知能)といった近年急速に進展するトピックスを取り入れたシンポジウムも企画しており、分野を越えた知見の融合と、新たな視座の創出を目指しております。また今回は、1966年に酵素抗体法を開発し免疫組織化学の発展に大いに寄与された第6代理事長の中根一穂(Paul K. Nakane)先生にご講演を賜ります。
大阪・なんばの中心地に位置する会場は、交通至便で活気にあふれた交流の拠点です。参加者の皆様にとって、刺激に満ちた有意義な時間となりますよう、準備を進めてまいります。
多くの皆様のご参加を、心よりお待ち申し上げております。
2025年
第66回日本組織細胞化学会総会・学術集会
会長 鶴田 大輔
(大阪公立大学大学院医学研究科皮膚病態学)
学会名 | 第66回日本組織細胞化学会総会・学術集会 |
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会期 | 2025年10月25日(土)・26日(日) |
会場 | 大阪公立大学 I-siteなんば 〒556-0012 大阪市浪速区敷津東2-1-41 ※教育講演のみ、会期後オンデマンド配信 |
会長 | 鶴田 大輔(大阪公立大学大学院医学研究科皮膚病態学) |
大阪公立大学大学院医学研究科皮膚病態学
〒545-8585 大阪府大阪市阿倍野区旭町1丁目4-3
<事務局長>今西 久幹
株式会社コンベンションフィールド
〒101-0032 東京都千代田区岩本町1-3-2 日伸ビル5階
TEL:03-6381-1957 FAX:03-6381-1958 E-mail: jshc66@conf.co.jp
2025年10月1日現在
本会は教育講演に限り、現地での講演に加えて会期終了後のオンデマンド配信を行います。
日 時:2025年10月25日(土)10:40~12:40
座 長:松崎 利行(群馬大学大学院医学系研究科生体構造学分野)
柴田 恭明(長崎大学大学院医歯薬総合研究科組織細胞生物学分野)
1. 現場に生きる病理の“知と技”
~知識なき技術に精度はなく、技術なき知識に実用性は宿らない~
演者:柳田絵美衣(群馬パース大学医療技術学部検査技術学科)
病理学における精度や信頼性は、試料調製から解析に至るまでの一連の工程において、各要素が相互に関連し、補完し合いながら、全体として機能的にまとまっていることで初めて担保される。とりわけ固定、染色、標本作製、画像取得・解析など各ステップの質は、分子解析やAIを含む高度な病理的評価、病理診断にも直結する。本講演では、病理技術の本質を見つめ直し、実用性と再現性を高めるために必要な“知と技”のあり方を問い直す。
2. 当院における遺伝子検査対応型検体処理体制の構築と運用
演者:水口 敬司(金沢大学附属病院病理診断科・病理部)
がんゲノム医療の普及に伴い、遺伝子検査に適した高品質な核酸を確保するための検体処理の重要性が一層高まっている。当院では、組織検体の前処理・固定・保存といった各プロセスを見直し、外科系診療科と協力しながら、遺伝子検査に対応可能な検体処理体制の整備と運用を進めてきた。本講演では、実際の運用手順や診療科との連携体制、現場で直面した課題とその対応策について紹介する。
3. 免疫組織化学染色などにおける陰性および陽性コントロールの重要性と保存方法の最適化
演者:五十嵐久喜(静岡済生会総合病院病理診断科)
病理診断や病理学的研究の根幹をなす免疫染色や特殊染色、ISH法におけるコントロールの重要性、その効果的な利用法、さらには理想的な保存方法について解説をしたい。
病理診断の精度向上、また、新規バイオマーカーの探索や疾患メカニズムの解明といった基礎研究の推進において、上記染色法の信頼性は極めて重要である。その信頼性を担保する上で不可欠なのが、適切な「コントロール」の設置と厳密な評価であると考える。
4. Precision medicineを成功させるための組織固定最適化とパネル検査内製化の取組
演者:宮崎 龍彦(岐阜大学医学部附属病院病理部)
近年、病理組織検体を用いたPrecision medicineを成功させるためには、その入口として適切な組織の固定が求められる。本講演では、固定時間のコントロールや検体温度管理などこの問題に対する我々の取り組み、そして遺伝子パネル検査内製化の取組を紹介する。その過程にあるいくつかのピットフォールに対する具体的方策を考慮する一助としたい。
日 時:10月26日(日)9:00~11:00
座 長:北澤 荘平(愛媛大学大学院医学系研究科分子病理学講座)
大野 伸彦(自治医科大学医学部解剖学講座組織学部門)
1. 固定“神話”のピットフォール
演者:小路 武彦(長崎大学名誉教授)
組織細胞標本上で様々な生体分子の局在を視覚化する組織細胞化学に於いて、形態を保持しつつ物質をその場で不動化させる「固定」は不可欠な操作である。そこには人類の知恵が生かされているがそれ故に迷信も多い。本講演では、固定法の原理と使用上の留意点と共に、試料間や施設間での結果の一貫性の確保に向けて、特に免疫組織化学とin situ hybridizationを意識して議論出来ればと思います。
2. 免疫組織化学の所見を記号化/スコア化する汎用型表記法(PRIME法)の提唱
演者:一迫 玲(東北大学病院造血器病理学共同研究部門)
免疫組織化学の所見表記はトレーニング背景・信念・個性等に依存しているためバラバラで統一性がなく、それ故ビッグデータになり難い。それを解消し、再現性/可逆性/普遍性/緻密性/簡便性/研究への応用性を可能にした「記号による汎用型表記法(proportion of immunoreactivity/expression;PRIME法)」を開発した。AIによる評価に適したアルゴリズムにもなり得る整数値の全組合せは758通りであり、それを元にスコア化することもできる。
3. 皮膚病理組織診断における組織細胞化学の位置づけ
演者:鶴田 大輔(大阪公立大学大学院医学研究科皮膚病態学)
皮膚病理組織診断における組織細胞化学は、通常のHE染色だけでは把握しきれない細胞や組織の特性を明らかにする補助的手法として重要である。特に沈着物の同定、細胞由来の推定、細胞活性の推測などに有用であり、免疫組織化学や分子診断と併用することで、より精確で臨床的意義の高い診断に寄与する。本講演では、HE染色だけでは診断に難渋する皮膚疾患での組織細胞化学による確定例についていくつか紹介する。
座長:村上 正基(名古屋市立大学医学部附属みどり市民病院皮膚科)
菱川 善隆(宮崎大学医学部解剖学講座組織細胞化学分野)
演者:「超解像顕微鏡による生体分子蛍光イメージング解析」
石塚 匠(宮崎大学医学部解剖学講座組織細胞化学分野)
「生体組織ブロックを可視化する2光子イメージング法の最先端」
川上 良介(愛媛大学大学院医学系研究科分子病態医学講座)
「蛍光イメージング技術を用いた皮膚疾患病態解析と臨床応用の展望」
吉田 諭(愛媛大学大学院医学系研究科皮膚科学)
座長:山本 明美(旭川医科大学名誉教授/iDREAMCOACH代表)
中西 陽子(日本大学医学部病態病理学系腫瘍病理学分野)
演者:「コーチングの基本を知って、自分もメンバーにも活躍してもらおう」
山本 明美(旭川医科大学名誉教授/iDREAMCOACH代表)
パネリスト:柳田絵美衣(群馬パース大学医療技術学部検査技術学科)
江原 鮎香(獨協医科大学医学部解剖学)
高浪 景子(奈良女子大学,研究院生活環境科学系生活健康学領域)
中西 陽子(日本大学医学部病態病理学系腫瘍病理学分野)
座長:澤口 朗(宮崎大学医学部解剖学講座超微形態科学分野)
原田 義規(京都府立医科大学大学院医学研究科細胞分子機能病理学)
演者:「シングルセル解析超入門:1細胞遺伝子発現解析から空間オミクス解析まで」
山﨑 昌哉(公益財団法人がん研究会がん研究所発がん研究部)
「空間的プロテオミクスによる三次リンパ様構造の機能解析と免疫療法応答性の評価」
中村 元樹(名古屋市立大学大学院医学研究科加齢・環境皮膚科学)
「空間x1細胞オミクスが切り拓く皮膚創傷治癒研究の新パラダイム」
森 亮一(長崎大学原爆後障害医療研究所組織修復学研究分野)
座長:鶴田 大輔(大阪公立大学大学院医学研究科皮膚病態学)
若山 友彦(熊本大学大学院生命科学研究部生体微細構築学講座)
演者:「医療AIの進歩と医師の役割」
植田 大樹(大阪公立大学大学院医学研究科人工知能学)
「深紫外表面励起蛍光顕微鏡(MUSE)画像に対する深層学習応用」
中尾 龍太(京都府立医科大学細胞分子機能病理学)
「中外製薬が取り組むPHCソリューションとは」
飯島 康輔(中外製薬株式会社PHCソリューションユニットPHCソリューション
推進部)
座長:鶴田 大輔(大阪公立大学大学院医学研究科皮膚病態学)
演者:本村 泰隆(東京理科大学生命医科学研究所)
共催:サノフィ株式会社
「私の研究人生を充実させて頂いた皆様への感謝」
座長:小路 武彦(長崎大学名誉教授)
演者:中根 一穂(Cambria, California)
「マウス腸管虚血再灌流傷害におけるSETDB1による核クロマチン制御機構への関与」
座長:寺田 信生(信州大学大学院医学系専攻保健学分野医療生命科学ユニット)
演者:樋口 和宏(宮崎大学医学部解剖学講座組織細胞化学分野)
下記の要領で演題を募集いたします。
2025年7月10日(木)~8月22日(金) 9月1日(月) 締め切りました
発表者は皆様、現地講演会場にてご発表いただきます。
タイトル:日本語 全角50文字以内 英語 半角100文字以内
抄録本文:日本語 全角800文字以内 英語 半角1,600文字以内
第66回日本組織細胞化学会総会・学術集会運営事務局
株式会社コンベンションフィールド
E-mail:jshc66@conf.co.jp
第66回日本組織細胞化学会総会・学術集会運営事務局
株式会社コンベンションフィールド
〒101-0032 東京都千代田区岩本町1-3-2 日伸ビル5階
TEL:03-6381-1957 FAX:03-6381-1958
E-mail:jshc66@conf.co.jp
大阪公立大学 I-siteなんば
https://www.omu.ac.jp/isite/access/